最大の課題

現在、事業化を進めるにあたり、教育現場のリアルな声を聞くべく、様々な先生方へ直接ヒアリングをさせていただいています。

その中で、深く考えさせられることがありました。
それは、先生にとっての最大の課題は何か、という問いをした際に、先生方が答えられた内容についてです。

その回答は端的に言うと、
「毎年決まった課題はない」
「生徒一人一人持ち合わせる課題は異なるため、一概には答えられない」

というものでした。

文章に書くとありきたりなのですが、私はその時とても唖然としました。

ひとりの生徒

想像していた答えは、過去の学校の実態に関する調査の中で上位に挙げられていた学校現場の物理的、人的なリソース不足などでしたが、そういった体系的な課題ではなく、生徒一人一人をみているからこその課題でした。

例えば、この子はなぜこんなに勉強しているのに学力があがらないのか、ということであったり、そもそもこの子は何故宿題をやらないのか、というのを掘り下げると家庭の問題であったりと様々である。

昨今は、様々な領域で1to1、P2P形式の個人に着目したビジネス・サービスが展開されていますが、教育の世界のそれは世のそれとは少し異なる文脈であると感じました。

民間企業がサービスを提供するには、どうしてもターゲットを標準化、汎用化し、極力個別カスタマイズを避ける方式でサービスを設計する。しかし、教育現場でここの課題にフォーカスすると、そんなに甘いものではない。

この時感じた感情は、先生方が日々全力で生徒一人一人のことを考えられているんだな、という感謝・尊敬の念とともに、誤解を恐れずに言うと、組織や体系的な課題へ対応することはある意味二の次なのかな、と感じました。

先生方が日々感じられる課題感と、外から私たち民間企業が想像する課題は予想通り異なっており、やはり現場の課題は現場でしかわからないということをまざまざと感じさせられました。これは、現職でも日々痛感しているところで、どんな分野にも通づるところだな感じています。

こうした体系化が難しい課題に対して、民間企業が営利目的でどのように取り組むべきか。答えは模索中ですが、先生方にリアルかつシビアな声は、信念を改めて認識できるいいきっかけになりました。

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【執筆者】大澤彰浩 Akihiro Osawa
ひとりのサラリーマン、ひとりの父親として、未来の子どもたちに残せるものを。
平凡なサラリーマンが事業開発にチャレンジする日々をありのままに。
weclip/日立製作所/明治大学/埼玉県立川越高校